ドクソ

数寄屋橋交番の下の本屋。あの地下通路を良く通るので、立ち寄るのだけど、昨日本を買った。僕はこれまでラノベが苦手だったのだけど、someone says「ラノベ鬼熱いかんね」ってことで立ち読みしたんだけど、驚いてしまった。いや、こんなん羅列するかっていう作者のタフネスに。驚愕ですよ。ただ、「この内容でこれだけ売れている」ということに関して言えば、んなこたぁ別にと思うわけで。いや、そんなん、「フランスではフーコーの「言葉と物」が飛ぶように売れたのに、現代日本では猫村さんと恋空?」とか言っても「それ、まんま僻みじゃね?」とも思うわけで。何がどう売れようが当人がおもろきゃいいだろうに。そこで民度がどうとかじゃぁおまん書いてみさらせと。いや、それは言い過ぎで。僕なんか言う資格もないんですけど、とにかくどうでも良いんですよね。発行部数とかそういうの。

ただ、ラノベって苦手だなって再度思った。学園ものとか。ミステリーっぽく誰が犯人でどうたらこうたらとか。ただ、もう学園ものは無理だわ。どんだけ脳内を探しまわっても、青春なんてどれもどす黒い思い出ばかりで、あんまり問いつめると「ファスター・プッシーキャット キル!キル!」と白目ひんむいて叫ばざるを得ないくらい追いつめられてしまうので、もう無理っす。どうあがいてもイメージが広がらない。

自分の貧しい想像力を思い知らされ、本当に惨めな思いでラノベコーナーを去り、ビジネス書のコーナーに移動した。すると、本という本が全く一貫性のない主張をそこで繰り広げていることに気付くわけですよ。タイトルで。できるやつは謝らないという一方で出世する人の謝罪力とか手帳で時間管理術と言ってるかと思えば、ネットでスケジュール管理の裏技とか英語は絶対勉強するなとか挙げ句の果てにはスタバではグランデを買え(企業と消費者のどちらも満足するWIN WINの状態はでかいサイズを買うってことらしい)だの、まるでいろんな上司が全く別のことをその上司の理論で勝手に主張しているかのようで、その意味でまぁ会社を体現している気もしないでもなく、ビジネス書なのかも知れないが、本当に何が正しいのか良く分からなくなるような些末な議論を広げていて、目眩がする。結局ここまで主張が違うと、購入者自身が納得したい主張と言うか、購入者の代弁的主張をそこで買っているだけじゃないかという、もう、なんというか、それこそ人間って卑小で寂しい存在ですな、ともっと惨めな気持ちになる。

そこにベストセラーとか言って、去年の秋に出た「下流社会2」が置いてあるわけですよ。もう今までの俺の全てを代弁するような遺書的なそれがそこにでんと構えているわけですよ。下流こそこういう本は買えと。「年収300万円時代を生き抜く経済学」で儲けたモリタクみたいに、三浦展下流に本を買わせて儲けたんでしょうなぁ。そういうのに囲まれると、「分かったぞ!お前ら、騙すために本書いてるだろう」と全ての出版物に対し疑心暗鬼になって、「動物の写真とか写ってる本じゃねぇと」と幼稚園児のような呟きをして本屋を去った。