ウディ・アレン『漂う電球』

本多劇場。早めに着いたので、village vanguardでロックの本読んで時間潰した。原作は秀作なのだが、今回もKERAの演出が微妙。原作も読んだが、途中いらん妄想が入ってたのが残念だ。あれがあるとないとで、結構雰囲気も違ったろう。

本作は「ガラスの動物園」と似ている。寧ろ、パクリっぽい感すらある。この手のシリアスな劇は好きなのでかなり満足だったが、ガラスの動物園との違いは、途中の母親と芸能エージェントの対話及びダンスだろうか。もしあのシーンがなかったら、ガラスの動物園まんまだろう。前述、ある一点の演出が微妙と言ったが、視覚的、聴覚的な演出は無難なものだったと思う。灯籠のような光が差し込むところは幻想的に、劇中、幕間のジャズや音楽。細かいけど、ラジオ番組のリアリティもあった(オールナイトニッポンとかで代用しなかったのが良い)。そこは安心できた。

あと良いところを列挙すると、ジャズ音楽、暗幕のタイミング、終わり方だろう。暗幕のタイミングはウィットに富んでいてよろしい。また、ラストだが結局、日常に戻ってしまう。チャンスがあったにも関わらず、掴めない。ポールは誰にも見せられない手品を自分の部屋で練習し続ける。夢と幻想の家。皆、夢をもって生きているのに、何も上手く行かない。でも、母親が沼のような家から抜け出すために、ポールの手品にしがみつく必死さは見ていて痛々しい。親の息子に対する期待と同時に、そこに賭けるしかない母親の気持ちが、なんとも言えないのですよ。。。

ガラスの動物園と似ていると言う台詞
「月に行くわけでもないじゃないですか」(ガラスの動物園でトムが月より遠いところとか言っていた。)
「どこ行くの?」「外」(ガラスの動物園のトムが「映画に行く」というのと似ている。)

ヲタですんません。