「ゲルマニウムの夜」

火曜
その頃、10代だったと思う。花村萬月が、芥川賞を受賞した。高校のクラスの友人であった「よっちゃん」が「インパクトはあった」と評価していた気がする。でも、もっと熱く評価していたのは「昭和歌謡大全集」だった。それから、数年。そのどちらも今では映画化されている哀愁。

ゲルマニウムの夜』と言えば、豚の交尾。ドリルみたいなペニス。もうその言葉に象徴されるように、本作の登場人物は全員狂っているわけで、本作ほど好き嫌いははっきりする作品はないだろう。The Whispering of the Godsという洋題がついているのだが(私はこっちの題の方が本作には合っていると思う)、この映画での海外の評価は高いそうで、小屋は海外評論家の言葉が大きく飾られている。

思ったこと1
先ず、「許し」とは何かということ。「汚い」とは何かということ。

思ったこと2
小さな世界はエロく、隠されたものは常にエロい。それはもう絶対的である。雪が降り、簡単に抜け出せそうにない閉ざされた密室のような土地。スキンシップを求める人間の性。

思ったこと3
不細工でも強引で繁殖力のある存在が生き残ってきた生物史。

ペニスをいじるかしゃぶるかセックスするというシーンが多く、冒頭の牛、ぐっちゃぐっちゃのきたねー雪、残飯置き場の汚さと修道女というコントラスト、豚の解剖、農薬で死にたい宣教師等カオスかつ虚無かつ不安定な感覚を抱かせる映り方が、精神的な消耗を強いるため、何度も見たいという感じではない。

一角座。映画の復興を目的として、アングラ演劇風小屋で上映されるスタイルは面白く、東京芸大の前、国立博物館内という場所柄はえがった。あと、先日離婚した広田レオナが出てる。微妙にエロい。