ソーマの誕生 - yosukedddの日記

ハックスリーの逆ユートピア小説「素晴らしき新世界」の世界では、「ソーマ」という安全なドラッグがある。ソーマの使用によって、退屈する人は滅多にいない。

「素晴らしき新世界」で描かれためっちゃ「安定」、めっちゃ「楽」社会、言い換えれば、「楽に生き延びる＝幸福かよ？貴様ら」というハックスリーの提言の意味するところは、深いと思う。

本当に、人類共通の何か、例えば、争いが100%ない社会とかを人類の最終的な目標を組み立てていく場合、結局それは多様な思想の廃絶、多様な考え方の廃絶を意味するだろう。ユニバーサルとか普遍的とか、それはボーダーレスになるようで、実は、結局、ボーダーの存在意義でもあった「ボーダーを突き抜けた感」がなくなっていくということ。

例えば、失恋のない恋愛。もう、なんか、単なる契約とか個人間のものを一切はずして、外圧という理由で、結婚して子供とかできちゃったり。例えば、失敗も後悔もない日々。

平穏な日々でのうのうと暮らせば暮らすほど、「幸福感」を感じられず、退屈になるわけで、完全なソーマのない僕らは退屈を埋める何かを発掘したいわけだけど、もがけばもがくほど、退屈の奥にある「後々の平穏な日々」が重荷になってくる。

本当に後悔をしている人間に対して、過去に同じ後悔している人が本当に「思いやれる」のならば、後悔や失敗なんてどんとこい！もう二重三重でどんとこい！全部来い。俺は後悔や失敗をいっぱいして、本当に心の底から笑いたい。そして、笑ってやる。全部に。

ボーダーが見えるような「目」を身に着けられれば、あとはそれを超えるよう努めるだけだ。